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研究発表
22/08/04
【研究発表】理学療法学科の富田義人講師による「サルコペニアと呼吸機能に関する研究論文」が電子ジャーナルに掲載されました
リハビリテーションの対象者である運動器疾患(骨折や変形疾患など)の加齢に伴う筋肉量の減少について、本学理学療法学科の専任教員である富田義人講師が調査した研究が、Medicineという英文誌に報告されました。
筋肉量減少と肺活量低下との関連が示され、筋力強化だけでなく有酸素運動を併用する重要性について、今までの研究を支持するものとなっています。
筋肉量などの低下を年のせいと諦めることなく、その病態をしっかりと研究し国民の健康寿命に寄与することが理学療法士にも広く求められていると考えています。一緒に研究する学生との出会いを心待ちにしております。
【背景】
サルコペニア (ICD-10 Code M62.84)は加齢に伴う骨格筋量、筋機能の低下とされています。肺機能低下(肺活量、1秒量、最大呼気流量など)は弾性繊維の伸張性や胸郭拡張能の加齢低下で起こり、除脂肪量と関連すると言われています。
近年、地域在住高齢者においてサルコペニアと最大呼気流量低値との関連が示されました。膝が痛い腰が痛いなど、運動器疾患を有する者は痛みをきっかけに不活動になりすく、筋力が低下することが分かっていますが、サルコペニアと呼吸機能の関連について運動器疾患を有する高齢者で検討したものは我々の知りうる限りありません。
【結論】
運動器疾患を有する高齢者においてサルコペニアは、性別、合併症、喫煙歴で調整後も呼吸機能と関連していたことを報告しました。
この報告から、サルコペニアを有する高齢者においては、骨格筋量だけでなく呼吸筋量も減少し、呼吸機能が低下している可能性を考慮する必要があり、初診時や術前において規則的に測定される呼吸機能検査は、サルコペニアを予想する指標としても有用かもしれないことを示唆しました。